たけうち

Bi Gan | A SHORT STORY/ビー・ガン | ショートストーリー/壊れた太陽の心のたけうちのレビュー・感想・評価

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約12分の短編の映画で、ワンコイン(500円)で鑑賞ができる、とても面白い企画です
荒れ地を彷徨う黒猫が、カカシ、ロボット、記憶を失くしたい女、悪魔、と、次々と出会った相手と問答を交わし“一番大切なもの”を探すのですが、なぜ黒猫はそれを探したいのか? を明らかにした上で、黒猫はどうしたのか? と余韻を残す物語となっています

キャラクターの配置から『オズの魔法つかい』をアレンジした作品なのかな? と考えたのですが…というか、それよりも、
黒猫が“大切なもの”を探していた理由が、今まさに猫の世話をしていたり、かつて一緒に暮らしたりしていた人であれば、許しがたい内容だったのです
猫は身近な人間の事など、愛さなくてもいい
しかし、人間は自ら世話をすると決めた猫を愛さないことは重罪です、極刑です
きっとこの監督さんは何の気なしに、黒猫の謎めいてどこか不吉な印象も、その可愛らしさも、そのまま映画の中に落とし込んだのだと思います
しかし、リアルに猫を身近に感じて愛している人間には実に腹の立つ映画でした
極短編の映画としては、映像も面白いし俳優さんや黒猫さんの演技も素晴らしいし、文句はつけようがないです
脚本も、気にならない人はならないはずですし500円で15分の映画を鑑賞するという試みも面白いし、他の作品も観てみたいです
でも黒猫の事は胸が痛い!
自分にとってそれは、どうしても脇に置けない問題だったのです

黒猫よ、うちにおいで
君はずっとあの人のことを忘れられないだろうけど、でもここには、美味しいご飯も清潔な寝床もある、寒い荒野をさまよわなくてもいい
だからうちで、わたしに愛させてくれ!
たけうち

たけうち