アクセルガツキー

亀も空を飛ぶのアクセルガツキーのレビュー・感想・評価

亀も空を飛ぶ(2004年製作の映画)
4.4
何という大傑作なのだろう…
文字通り、傑出している。私たちは時々、否、ごく稀に、この人はこの作品をつくるためにこの世界に生まれて来たのだ!と思わず口走りたくなるような作り手と作品と出会う。
バフマン・ゴバディという映画監督は、この作品でもって映画史にその名を刻むだろう。そして私たちは決して彼のことを忘れないだろう。彼の亡命後の作品は、(現時点では)その残滓に過ぎない。が、それで一向に構わない。作り続けて欲しい。語弊のある言い方だが好きにやって欲しい。パーソナルな怒りと、世界への洞察と、構築された構造がぴったりと、まるで奇跡のように合致している(これを奇跡と言わずして何を奇跡と言うのか?)。
「現実に目を背けるな」…違う、「現実を見てくれ」強烈なメッセージと祈りと、映画的な感性、その全てが備わっている。絶対に見て欲しい。あなたが、一人の人間のいのちが、確かにかけがえのないものだと信じているのならば。必ずや何かを感じる筈である。


(追記)公開時に見てるのだけど、アメリカのイラク侵攻を肯定的に捉え過ぎているとか思って、その文脈でしか見られなかった自分が本当に恥ずかしい。そういうことじゃないんだよ!ばーか!