亀も空を飛ぶの作品情報・感想・評価

「亀も空を飛ぶ」に投稿された感想・評価

100本目は日本、200本目はアメリカ、300本目はイタリアだったので、400本目はアジアから、イラン映画で大好きなこの作品を。

イラク北部に住むクルド人の小さな村。フセイン政権末期の混乱した時代。戦争に翻弄される貧しい子供たち。
彼らクルド人は生まれたときから大人だそう。それは子供時代がないということ。言い換えれば教育でも遊びでも何一つ子供らしいことがないということ。何とも辛い現実。

ここでも彼らは、地雷を除去して武器商人に売る仕事をしている。何とも危険な仕事。手足のない子もチラホラ。彼らを仕切る少年がいて、大人顔負けの仕事ぶり。

その村に、フセイン軍の兵士に両親を殺され暴行され生まれた幼子を抱えた少女と両腕ない兄が避難してくる。彼ら兄妹のエピソードの悲惨さとやるせなさには言葉が出ない!

でもこの映画、悲惨なだけではない。時にユーモラスにも感じられる。
悲惨な状況でも逞しく生きる彼らの姿には逆にこちらが勇気づけられます。それだけによけいに胸が詰まります。

中々観られる機会はないと思いますが、もし機会がありましたら是非!
cinefils

cinefilsの感想・評価

3.8
サテライトの子分みたいな子供(松葉杖じゃない方)が何ともいえず可愛らしい。どうやって子供たちを演出してるのだろう。
けんた

けんたの感想・評価

4.0
不条理なこの世の中
頭の片隅にでも世界情勢の現状を置いておくことで、自分の今の暮らしに感謝し、人々はより理解し合い、助け合わなければならない
☆☆☆☆

強烈な映画だ!
あまりの凄さ、逞しさに完全にノックアウトされてしまった。

時はアメリカ軍によるイラン侵攻直前、国境沿いの村には強烈なリーダーシップで子供達に指示をする少年サテライトがいた。
沢山の難民の中には気になる存在の少女に、両腕の無い兄と幼い子供。

掘り起こした地雷を武器商人に売り付けてお金を稼ぐサテライトと子供達「僕たちに必要なのは理科や算数よりも機関銃なんだ!」と叫ぶ、やっと映った衛星放送も戦争のニュース以外は「汚れた番組」と決めつける大人達、受け入れ難いラストも含めてこれこそが本当の現実の姿なのだ!

過去にも実際に地雷で傷ついた身体を晒して映画に出演している子供はいたが、この映画の様に涙や感動を‘売り’にしないのは珍しい。
いやきっと必要無いのだろう。彼等にしてみれば腕や足を吹き飛ばされてしまったのはきっと‘結果的’と考えているのかもしれない。実際そう思えてしまう程にこの映画に出て来る子供達は逞しくしたたかである。

題名になっている2匹の亀が水溜まりの中に深く沈んだのは【あの出来事】はもはや‘闇の中’って事なのだろうか?
今となっては結果が見えてしまった為かアメリカや世界に対して挑発とも苛立とも受け取れる様な強烈なメッセージを持った作品だった。

(劇場鑑賞/岩波ホール/日時はメモを調査中)
キャストが全員実際の戦災孤児である点も、監督の言うマジックリアリズム的な部分なのかもしれない。

映画というある種の非日常と、実在する戦災孤児の起用というドキュメンタリー性の融合という意味において。

それにしてもあの盲目の赤ん坊の役の子、あれが演技だとしたらもう開いた口が塞がらない。

実際の戦災孤児で有る点からもどこまでがリアルでどこからが虚構なのか錯乱しそうになるのもマジックリアリズム的映画である所以なのかもしれない。
hanako

hanakoの感想・評価

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クルドの映画二作目。これもやはり胸が苦しくなる。クルドに平和を。
Hikaru

Hikaruの感想・評価

4.0
三者、同じ幼子というレンズを通しているはずなのに、どうしてここまで見る世界が変わるのか。
彼らには選択肢が与えられておらず、見ていてそれが辛い。

苦、現実、夢やぶれ。
ILLminoru

ILLminoruの感想・評価

4.0
クルド人である、バフマン・ゴバディ監督による、フセイン政権崩壊後にイラクで制作された、ドキュメンタリックなリアリティと神話的なフィクションを併せもつ稀有な作品。

荒涼とした大地、生々しい生活描写、子供たちのイキイキとした強さ、明るさ、苦悩、底知れない絶望、幻想的な映像美。

監督曰く”魔術的リアリズムの世界”。

ラストの新しい侵略者たちの介入で終わるのも秀逸。

とてつもない傑作。
崇敬するIホール初代総支配人様⑧

戦下における男の見境なき壮絶な卑劣さをまざまざとつき付けられる秀作。
この鬼畜的行為には吐き気すらもよおす…
こういった現実を目の当たりにすると、神の存在を真っ向から否定したくなる。
Tyga

Tygaの感想・評価

3.7
ゴバディ監督3本目。

イラク戦争の直後、サダム・フセイン政権が倒された後、はじめてのイラク映画。
本当のアメリカ兵士が出演しているらしい。

前までの2作は逆境や弾圧の中で生きる希望を見続ける人たちを描いたが、この作品は夢を見続けることをやめた1人の少女を描く。

大量に遺されたアメリカ製の地雷を掘り起こしては売り捌く少年たち。その少年たちに地雷の代わりにフセインの銅像の右腕を渡して、「これからはこういうものを売りなさい」というアメリカ兵士の話が、ほんのちょこっと触れられるだけなのだけど、僕は心に残った。

国にはまだ、夢はあるのか。
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