つねにねむい

哀れなるものたちのつねにねむいのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
『哀れなるものたち』を観て。

めっちゃ面白かったです!
ポスターがオシャという理由で前から気になってたんですが、アカデミー賞に11部門もノミネーションされたとのことで劇場へ🏃‍♂️
前評判のよさを悠々と超えてくる素晴らしい映画でした……

時代はおそらくヴィクトリア朝。
自死した妊婦が天才外科医に我が子の脳みそを移植されて蘇生。
無知な彼女は好奇心(という名の性欲)が赴くままにロンドン、リスボン、大西洋、アレキサンドリア、パリと旅をしていつしか精神も大人になっていき……、という倫理観がぶっ壊れたストーリー。
頭が豚で胴体は鶏みたいなキメラとか、無表情で脳を焼く助手とか、殺されかけて喜ぶババアとかいっぱい出てくる。最高。

風変わりな本作ですが、シュルレアリスム絵画の中に入ったかのような美術や、主人公ベラの心境に合わせて画角/歪み/ピント/白黒カラーを使い分ける狂気の演出が全体をまとめていて、とにかく美しかったです。
あと、こんなにぶっ飛んだストーリーなのに、動物であるヒトが知性を得て人間になっていくまでの過程を描いているので、人生を説かれたような気持ちになりました。

ティム・バートン監督の作品(特に『シザーハンズ』『スウィニートッド』)が好きな方にはわりと刺さるかも?
あと読後感は違いますが『パンズ・ラビリンス』『ミッドサマー』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』らへんを好む方にもグッとくるんじゃないかなと思います。

ただ、隠す気のない解剖シーンがあったり、作中の一割くらいセックスするかシモの話をしてるので、そういったものが苦手な方は注意してください🙏