かこじ

哀れなるものたちのかこじのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.5
公開初日のレイトショーで鑑賞。
観客は5人程度で、女性多め。
隣のスクリーンでは『ガンダムSEEDフリーダム』がほぼ満席なのに。

女性版『フランケンシュタイン』と思いきや、『アルジャーノンに花束を』と『エマニエル夫人』を混ぜた感じ。
自由奔放に生きるエマ・ストーンと、彼女を独占し、束縛しようとするマーク・ラファロや男どもの攻防が面白い。
彼女が幼児期のときは、残酷な行為を無邪気に楽しむも、知性を得るにつれてヒューマニズムに目覚める点は、人類の歴史をなぞっているよう。

ウェス・アンダースンを思わせる極彩色やシュールな会話、超広角映像、そしてエマ・ストーンの大胆なシーンなど、2時間半の長尺ながら、全く飽きない。
ヨルゴス・ランティモス監督は、観客の興味を引く演出に長けている。アリ・アスターもそんな感じかな。

娼婦を自由で自立した女性と見るかどうか、は何ともだけど、そういう視点は面白い。
彼女を優しく支えるウィレム・デフォーと助手マックスの存在が貴重。

裸シーンをボカシなしで上映する配給会社の覚悟も大したもんだ。
そりゃあ、未成年はこれを観ないで、ガンダム行くわな。

メアリ・シェリーが「フランケンシュタイン」を執筆する前夜を描いた、ケン・ラッセルの『ゴシック』という映画があったけど、あれも背徳感満載だった記憶。
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