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哀れなるものたちのsuqのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
 艶笑ものであり、かつセクシュアル(・リプロダクティブ)・ヘルス/ライツの話だった。ヨルゴス・ランティモスは性愛を相対化し、全然セクシーじゃない粘膜接触として描く人だというイメージをもっていたけど、そこにかかわる女性による主体的な選択や権利まで話が及ぶのは意外に感じた。
原作からの脚色も、映画には合っていたと思う。

徹底して「変化していくこと」についての物語だった。主人公ベラはもちろん、登場人物全員が登場時のままでいられない物語。

衣装のホリー・ワディントンが『レディ・マクベス』の衣装も手がけていたと知り、納得。
ショーナ・ヒースとジェームズ・プライスによるプロダクションデザインを含め、石岡瑛子というかターセム・シンへのオマージュを感じる。
このほか、『メトロポリス』、『エレファント・マン』、カレル・ゼマン監督のアニメーション作品、ペドロ・アルモドバル監督作品などを想起した。

私は1931年の映画『フランケンシュタイン』の"舞台装置が豊かで複雑なことにより怪物が小さく見える”という演出が好きなので、そういうレファレンスが効いていたのがよかった。小説の原作者、メアリー・シェリーへのリスペクトもあったのではないか。
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