ヴィジュアルは最高。
オープニングのレタリングからエンドクレジットの画像まで統一された美意識。
カラーとモノクロのフィルムもこだわった記事を少し読んだが素晴らしかった。
観える画と音楽は素晴らしい。
問題は話である。
私はセックスモンスターの話が笑い噺にしか思えない人種で、本作は共感よりニガ笑いしかなかった。
ウディ・アレンの70年代コメディみたい。
男性は、果てた後又せがまれるマーク・ラファロに同情しかない。
脳ミソ替える外科手術よりフラストレーションをエクスタシーに替える手術をすればいいのに、と笑い転げた。
(大人のオモチャを開発するより脳でなんとかしたほうが欲求不満の、特に女性にはいいのではないだろうか。
海外は認知症にロボトミー手術したり同性愛者を病気扱いしたりするから、欲求不満の女性は常にエクスタシーを脳が受信するようにするとか開発しないのだろうか。
それは『ドント・ウォーリー・ダーリン』か。)
そんな話ではない、ような。
この監督さんの作品はどれもみな哀れなる者ばかりだと思い出した。
映像と音楽と俳優達の演技で楽しんだが、話は残念。
アイロニーも大した事はない。
最高級の美意識で貧相なアイロニー。
しかしヨルゴス・ランティモス監督にかかると不思議と最高の芸術にもみえる。