Eita

哀れなるものたちのEitaのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
フェミニズム映画として昨年の『バービー』と比較されるけれど、『バービー』が構想的な側面の強いフェミニズム映画だとしたら、こちらは思想史的な側面の強いフェミニズム映画かもしれない。

『バービー』がコンセプト、理性先行で、こちらはリアリティ、肉体(経験?)先行。あくまで「先行」であり、『バービー』ではバービーはサンダル履いて地に足をつけ、この作品ではベラは読書、勉強をして終わるのは重要。

やってることはぶっ飛んでるように見えるけれど、その実非常に丁寧なストーリー展開、描き方だったと思う。星新一の言うようなSF(少し不思議)とリアリティのバランスがとても良い塩梅。

エマ・ストーンの演じ分けが素晴らしい。ラストをどう取るかで評価が分かれそう。あわよくば露骨な性描写とグロテスク描写がなければ多くの人に勧められそうだが、そんなことしたらこの映画の核を奪うに等しいし、お門違いも良いところだろう。

個人的には非常に好印象だけれども、観る人は選ぶかもしれない傑作。
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