犬牟田

哀れなるものたちの犬牟田のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.7
夢のある話、死んだ妊婦に産まれてくるはずだった胎児の脳を移植するハナシ。
リビドーの強大さ、途方もないリビドーは女性的ではないように思うから、産まれてくるはずだった胎児は男だったのかな?ふむ、分からない、僕は女ではないから…。

社会性を獲得するまでの過程が極端だったり、と。アレクサンドリアでのあの一幕で残酷ということを知って善意を知る、うんにゃら、カタルシス至らず仕舞いのところが多々。坂本龍一のthousand knifeみたいな映画。それがきっと観劇後にも尾を引く仕掛け。安易なカタルシスはエンタメ性だけを引き揚げるような都合のいいツールなのです。

ダンカンの哀れなるものそのもののような体たらくぶりには、男のすべてに言えるよう、ちなみにマックスのような男はありえないだろうな存在しないな、宦官ダディか寂しさ拗らせ厭世観ボーイ、男性を纏うガキの3つに男は分けられるよね。要は切り落とさな真的父性は獲得できないぞ!ということ。真理。

幼児期の行動があまりに動物的、それ故、逆説的に人間讃歌であるように思うが、将軍を動物にしてしまう処罰はそれでいいのかという。

劇伴が尋常じゃない、良い。
あんなにもヴィジュアルヴィジュアルしているのに、カメラワークが何を狙っているのか分からないときがある。引きの絵は絵画的で素敵なのですが。Midjourneyでつくるような現実三歩手前感が素敵です。
犬牟田

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