ぴょんこ

哀れなるものたちのぴょんこのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
ところで、いつからモノクロからカラーに変わったか、その瞬間気が付かなかった。








冷徹に生きた科学者も愛情には勝てなかった。人間の愛は最も強い。
幼い子供の純粋な快楽、欲望、探究心は大人には理解できないほどの破壊力がある。誰しもみな子供だったはずなのに、愚かな欲にまみれた結果、子供に負ける位衰えた成長を見せることになるだろう。金・地位・名誉よりも偏見なしに真っ直ぐに目の前のものを愛した人が最後には幸せを手に入れているのでは。
ベラがソープ嬢になる。性欲も愛情なしに溺れてはそれは無であり、意味をなさない。金になるがそれは愚かに見えていた男共の欲と同じようなものに成り下がる。


意志は人を強くする。
あらゆる経験をしたベラは誰よりも強かった。
偏見なくあらゆる所に飛び込んだベラだが、唯一冒険で涙を見せたのは貧しい子供を見た時。今まで1度も自分より弱いものを見たことがなかった。殺すことや血を見ることが当たり前で彼女自身も残虐であったのにここでは同情の立場に逆転する。綺麗なもの・汚いものでも自分より富んでいるもの・そもそも死んでいるもの以外の死に相当ショックを受けていたのは、大人になった証の起点のようにも感じた。
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