けい子

哀れなるものたちのけい子のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
今年はゴシックについて勉強したいからやっぱり今年の映画初めはこれにしないと、という事で新年一発目(遅い)に見に行った。結果正解でした。「今」みんなが求めてるタイプの話を上手にまとめたな〜という感じで。どフェミニズムな話なのに男の人にも優しいからみんなにウケてるのよくわかった。

マッドサイエンティストとか哀しき人造人間とか、「ファムファタール」みたいなヴィラン的なものへの視点が転換して示されるのは、自分も興味ある「魔女」へのそれとも近そうな話でもあるなーとか。そういうの諸々が今っぽいなって。もっと悪趣味や極端にもできそうだけど、原作のがそうなのかな?

個人的に女の性欲を扱った映画が好きなんだけど(そうなるとホラーがどうしても多い)、『哀れなるものたち』もそのど真ん中で、しかもそこと女が知性的になるが事が繋がってる🤝話なのでそこはほんと良かったなーと思って。
R18で性描写多いけど、女の子が変なAV見て歪んだ女性観を内面化する前にこういうの見た方がいいんじゃないかと思ったり…
悪影響ももちろんありそうだけど笑

この間、『ドラキュラ・シンドローム』という本で19世紀末のヴィクトリア朝における「ドラキュラ」のもう一つの解釈として、「女性読者の制欲を刺激」し、無垢な女性たちを官能化させてしまう「フランスの〈猥褻〉小説のメタファー」でもあるのでは、というのを読んで。そこであの時代、多くの男性たちが「無性欲」な女性達が「性的刺激」を受け自分達のコントロールできない何かに変わってしまうかもしれない、という恐怖を抱いていたのかも?というのもあったと合わせて考えながら見てたのでまたかなり面白かったです。
けい子

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