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哀れなるものたちのaのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.9
哀れなる人は誰なのか。

モノトーンで描かれたベラの初期は、社会から見たら、異質なものだし、異質だから哀れに見られていたんじゃないかと思う。
ただ、ベラからしたら、1番自分の欲のままに、そして自分らしく生きていたので、哀れなんて自分のことを思っていないだろう。
そこから、他者と混ざったり、社会に出ることで、自分らしさがどんどん失われ、ベラの自己評価としては、哀れな自分だったのではないかと思う。逆に医者を目指し、友人もいて、周りからみたらまともな人間に最終的にはなっていたのではないかと思う。

哀れな人は、結局は他者がつくりあげた幻想でしかないんだろうし、社会や他者がそうさせているんだなと感じた。

純粋なベラが人と触れ、社会や情報に触れることで、どんどん成長する部分もあれば、失われる部分も鮮明に描かれているのが印象的だった。自由主義、社会主義、ロマン主義、いろんな主義を往来しながら価値観を築き上げる姿も面白い皮肉になっているなって感じた。
まるで1人の人生をじっくり見れた感じがして、満足感たっぷりの映画だった。
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