南森まち

#ミトヤマネの南森まちのレビュー・感想・評価

#ミトヤマネ(2023年製作の映画)
1.6
人気インフルエンサーのミトヤマネ。彼女はマネージャーから「誰でもミトヤマネの動画を作れるアプリ」への協力を打診されるのだが...というお話。

こういう時事に乗った作品は、『フィールズ・グッド・マン(2021)』のようにドキュメンタリーであれば意味があると思う。しかし本作のように、フィクションにするとなると、話は大きく違ってくる。そこには新しさやエンタテインメントが求められる。
少なくとも『神は見返りを求める(2022)』のように、起承転結があり、ホラー的なヒキの強さが欲しい。それがまったくないのではっきり言って面白くない話をダラダラ見せられる。キツい。

また、この映画内の主人公たちがあまりにも古いタイプの配信者像で、頭の中に?マークがたくさん出てしまう。なんだこりゃ。2023年公開の映画と思えない。2010年代のニコニコ生放送レベルだろう。
作中でも言及しているように、この映画のキーになるフェイク動画が作られるなんてことすら2023年現在でも数年前の話なので、今さらこんな話に乗っかる経緯にも違和感を激しく感じる。数百万を集めていて外を出歩けないような配信者とそのマネジメント会社が、フェイク動画を作るアプリに協力するわけないでしょ...?アイコラですら1990年代にはあったのに。個人勢も会社所属勢もこういうのはきっちり管理できる人しか生き残ってないですよ。

また、「自分の存在意義を動画サイトに求めて現実が非現実的になる」というテーマも、配信者を主人公にした物語ではありがちなテーマだと思う。少なくとも『神は見返りを…』はそうだ。そのフォロワー映画のはずなのに、こちらの方が映画として面白さがない。流行りについて行って作品を作るなら、もう少し現状把握が必要だと思う。

この質の作品が『SEARCH/サーチ(2018)』等と同じ価格で映画館で公開されるのはちょっとどうかと思う。製作時におそらく42歳と若い監督(兼脚本)と彼を止めなかったスタッフたちは、現在の配信者たちの状況をあまりよく知らないんだと思う。