南森まち

PERFECT DAYSの南森まちのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.8
無口で独身中年の公共トイレの清掃者が、変化の少ない生活の中で小さな日々の喜びや哀しみを見つけ生きて行く…というお話。

見終わった後は「こんな聖人みたいなヤツおらへんやろ!」ってなる一方で、「人生、これで充分楽しいんじゃない?自分の人生と何が違うんだろう?」と考えさせられた。自分は、TVでニュースを見て怒り、自他を比較して怒り、周囲の人々の言動に怒り…そんな必要ないのに何をやっているんだろう。そう思わせてくれる映画でした。

この映画のように、ひっそりと自分のささやかな趣味を見つけて100円で古本を買って楽しみ、週末だけお気に入りのお店でママと話す。「勝ち組」とか「負け組」とか言わなければ、平和で最低限の収入さえあれば人生しあわせだな。

しかし出てくるトイレは、ヴィム・ヴェンダースが賛同した「THE TOKYO TOILET プロジェクト」を舞台にしているのでどれもこれもオシャレ。
映画の内容としては、もっと汚い公衆トイレである方がテーマが際立ったと思いました。こうもオシャレなトイレばかり出てくると、なかなか悪くない仕事で見えてしまうんじゃないかしら。

長いからこそこの重みが出たんだろうけれど、それにしても長い…!言いたいことや起こるイベントがシンプルなだけに、映画の長さが際立つ。
一度見るのはオススメだけど、テレビでやってたら途中でチャンネル変えちゃうかも…でもオススメ!