もこ

シチリア・サマーのもこのレビュー・感想・評価

シチリア・サマー(2022年製作の映画)
4.0
異性愛者でないと生きることさえ許されない
(隠すのが上手いならともかく。。)
そんなことがわりと最近まで
場所によったら今でも。

実話だと知って鬱展開必至だとわかった上での鑑賞。


映像はシチリアの風景が美しく
少年たちは可愛らしい。(受難は多いけどね)
甥っ子トトの無邪気なヤキモチとか。
そこにはまだ偏見なんて無く
ただの、仲良しを取られちゃった!!っていうヤキモチなんですよねーー。。


子孫繁栄だとか後継問題だとか
その辺よりも
この話って
これって下地は宗教的な思想のところからの地域に根付いた差別、偏見のお話ですよね。

宗教的にNG出されてることをやってるんだから、そんな相手には何をしたって許されるぜ
むしろ排除しないと!有害だ!!

ちょっと考えてみなよ、そんなわけないだろう💦
と言ってもこういうのって通じないんだよね、、、


主人公の片方、ジャンニはそれが原因で
昼間から道端にたむろする若い人に嫌がらせをされまくり
(彼らは多分、就ける仕事が無い。楽ではない仕事は選びたくない。)
義理の父には邪険にされて
鬱屈を抱えつつ
家を追い出されることを恐怖している母のことを思って
爆発しそうな気持ちを押さえつけ
我慢しながら生きています。

もう1人の主人公、ニーノは花火職人の父の元で仕事の勉強をしながら
にぎやかな家族に囲まれて
わりと穏やかに幸せに生きています。
裕福じゃなくても心は豊か。
真っ直ぐで優しい心根を持っている。


16さいと17さいの男の子同士の恋愛ですよ。普通に微笑ましいんですけどね。。
シチリアの田舎町。
ここではそういった事への差別や偏見がかなり酷かったそうで。

ジャンニの母は経済的な理由で夫に逆らえない。
ジャンニが我慢して、恋をせずに居てくれないと母子共に困る事になる。
母の行動はやりすぎな様ですが
激しい嫌悪感を周りに与えたら何が起きるのかを知っているから。

誰かを好きになる
たったそれだけ。

たったそれだけなのにね。

他人が許す許さないという話でもなく。
それは誰にも冒せない心の領域なのにね。
もこ

もこ