毎日に楽しみを見いだせず喫茶店で働いていた弓子はある日、春画の研究者である“春画先生”こと一郎と出会う。
そうして新しい世界を知った弓子は春画の世界と、一郎に惹き込まれていくが…というお話し。
元々日本という国は性に対しておおらか。
しかし西洋文化による近代化により性は隠すべきものとなってきました。
ここ数十年でも性に対する厳しさは増していて、僕が子供の頃なんかはゴールデンタイムの地上波のTV番組でも、子供向けの少年漫画でも女性の裸が描かれていたけれど、今ではそんなのあり得ない時代になっています。
そんな現代だからこそ、改めて性について考えてみるのもまた良いのではないかと思います。
人というのは心と体から出来ていて、その2つは不可分なもの。
だけれど世間では精神的な愛は素敵なものとして語られますが、肉体的な愛もそれと同時に同等に存在するはずなのに何故か隠されます。
Hな事は隠すもの!という価値観を当然のもののように受け入れてきましたが、それ自体が思い込みで、そもそもそれに正しい価値観なんてものはないのだと思います。
人間の根源的な欲求である性。
そして人間という生き物の営みから切り離すことが出来ない性。
自分にとっての性とは、そして愛の形とはなんなのか、本作と春画を通して考えてみるのもまた一興だと思います。