ケネス・ブレナーによるアルキュール・ポワロシリーズ第三弾。
『オリエント急行』『ナイル』と来て、次は『クリスタル』かと思ったら『ハロウィーン・パーティ』だった(笑)。
冒頭、美しいベネチアの街並みから始まると、またこのポワロの世界に戻ってきた喜びでいっぱいになる。
本作が今までの2作と決定的に違うのは、オカルティックな要素だ。
降霊会、死んだ少女の霊、子供の亡霊が出るという屋敷…
常に沈着冷静なはずのポワロが、謎のオカルト現象に困惑する。こんなポワロは見たことない!
そして降霊術を行う霊媒師を演じるのが『Everything Everywhere All at Once』のミシェル・ヨー!
もちろんアガサ・クリスティだから謎解きはきちっと論理的に終わるんだけど、グレーな感じを残した演出は好み。
オカルトに傾倒したっていうとコナン・ドイルが有名だけど、実はアガサ・クリスティも降霊会にはかなり関心があったよう。
豪華絢爛の贅を尽くした前2作とは、大きくテイストが変わったが、それがケネス・ブレナーのねらい。
美しいベネチアを舞台に、オカルティックな事件に挑む名探偵ポワロ。これもまた楽し。