「ナイル殺人事件」の印象がイマイチだったので期待せずに観たのだけど本作はかなりホラー色を強調していてまた良かった。
前作ラストで事件を解決したものの過去のトラウマに打ちのめされてベネチアでの引退生活に追い込まれたポアロは、ハロウィンの夜に知り合いの女性推理作家に誘われて娘を失った婦人が主催する交霊会に招かれたのだがそこで謎めいた殺人事件が起こる…というお話。
ポアロ自身も幻視や幻覚に惑わされながら犯人探しに奮闘するのだけど、全般に暗い画面で霊らしき声があちこち動き回る音響設計がされていたのでDOLBY CINEMA向きだったかもしれない。
特殊効果を多用せずに割と古典的なカット割りで恐怖を煽る演出は面白かった。
クリスティの中ではあまり知られていない作品だと思うし、個人的にはアクロイド殺しの映画化を期待していたのだけど、最後は活気を取り戻したポアロが見られて良かった。
上映時間が短めなのも良し。