冒頭、生瀬勝久が特殊詐欺の組織をセリフで説明してくれたり、時制を字幕で説明したり、映画として不細工な気はするけども、やはり安藤サクラの「解放」は気持ちが良かった。
原作では主人公が男のところ、女性の物語へと改変したと読んで驚いた。山田涼介との「男女」の関係性が絶妙で、切なくて、だからこそ東京での顛末が泣けてくる。
ジジイの作った珍品フェミ映画であるのは確かだけども、したり顔で考えさせる風な作りではなく、エンタメの枠内に収めているのは好感が持てたし、もっともっとおっさん向けの作品をもっと作って欲しい。
安藤サクラの後、江口のりこが出てきて脳がバグって生き別れの双子の物語かと思った。なんでこんな混乱させるキャスティングをしやがるんだと思ったけど、それぞれ光と影として見れば味わい深かったり。
あと、好き放題していた山田涼介の落とし前に国家(一応の正義)が関わってくるのが良かった。
左翼映画にとって権力の正当性を描かねばならないのは、重大なコンフリクトなのだけど、
アウトローな、アンダーグラウンドな物語だからこそ、我々が生きる「一般社会」との関わりで「理性的」に決着させることで溜飲が下がったのも確か。あの警官役を原田眞人の倅にやらせたのも興味深い。