Omizu

クリアチューラのOmizuのレビュー・感想・評価

クリアチューラ(2023年製作の映画)
5.0
【第76回カンヌ映画祭 監督週間ベスト・ヨーロッパ映画賞】
俳優としても活躍するスペインのエレナ・マーティン監督の長編二作目。カンヌ映画祭監督週間で上映され、ベスト・ヨーロッパ映画賞を受賞した。ゴヤ賞でも監督賞など4部門でノミネートされた。

日本では一般公開されず、U-NEXTで『欲望の渇き』という邦題でレンタル配信中。

素晴らしい。映像、物語、演出と全てが性癖ぶっささりすぎた一作。過激な性描写を含む官能ドラマであるので日本での劇場公開が見込めないのは納得できる。ただモザイク問題がここでも。いやそこモザイクしたら意味分からなくなるって。仕方ないけど、物語上重要なんだから映さないでどうするのこれ。

まぁそれは置いておいて。「何が」とは言いづらいんだけどとにかく素晴らしい。ある女性の性的嗜好をめぐる官能ドラマ、とでも要約できるだろうか。

しかしそれも矮小化しすぎかもしれない。自分でも理解が追いつかない本能を描いていると言っても過言ではないと思う。

男性、ひいては父親に対する捻れた感情を見事に描いている。人間の本能というもののままならなさ、というのかな。ミラの中に渦まくその欲望と感情はどうしようもなく拗れていく。その様子を回想形式で綴っていく。

その構成力もすごくよかった。ミラという女性を三人の俳優さんが演じていく。その三人もよかったし父親役の二人も見事な演技だった。

自分ではどうしようもない、倫理的にアウトな欲望を見事な映像で語っていく。夢幻的な映像表現がとても好き。

今のところ旧作新作ぶち抜きで今年ベスト。ヒュートラで開催されていた監督週間で去年やっていたのは知っているが、こんなに好きな映画だとは。全てが好みな変な映画。そういうのが好きな人には絶対刺さる一本だと思う。強くオススメしたい!
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