Monsieurおむすび

アース・ママのMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

アース・ママ(2023年製作の映画)
4.2
#アース・ママ
2児のシングルマザーで妊婦のジア、薬物依存からの更生プログラム中により2人の子供は養護施設へ。
週に1度、1時間だけしか面会できない状況を打破しようにも、妊婦である為に仕事は限られ、更生プログラム講習で時間は削られ経済的に困窮し目処が立たない。
お腹の子のことを思えば、育てていくのは難しいと養子縁組を考えるものの、愛情がその想いを留まらせる相剋。

孤独な妊娠、出産、子育てを強いられる女性たち、当然のように貧困で、薬物に手を出してしまい行政から母親失格とされ、また現実に打ちのめされる。
そして同じようなことが、その子どもにもネガティブな連鎖として継承されてしまう。

ジアの背景や子供たちの父親の存在は想起させるに留め、あくまで「母親」としてのジアにフォーカスしていく。
つらすぎる日常と不安な胸の内
子供たちへの愛と希望
美しいサンフランシスコの景観と生命への讃歌
16ミリフィルムのザラついた質感が生むリアルが、それらを詩的に表現する洗練された撮影と演出の妙味。
元バレーボール選手でオリンピックにも出場したという特異なキャリアに加え、監督デビュー作だというサバナ・リーフ監督。稀有な才能に出逢った喜びを噛み締める。
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