ぼぞ

クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男のぼぞのレビュー・感想・評価

2.8
タランティーノの作風が形成されたあれこれを知れるドキュメンタリーと思ってワクワクだったけど、ワインスタインの犯罪には関わってませんよという弁明ドキュメンタリーにみえた。
ミラマックスと決別してソニーと組んで新たなスタートを切りましたよ的な。
タランティーノの作品は大好きだし、作風をみれば彼が女性軽視をする人間ではないことははっきり分かる。
でもこういうドキュメンタリーで「彼はフェミニストだ!」と男性陣が口を揃えて熱弁しているのがなんか違うくない?という感じ。
彼がワインスタインの犯罪に加担してないことを証明したいなら、もっと女性からの証言を増やすべきだし、女性陣に「フェミニストだ」といってもらう方が安心感がある。
「彼はグラマラスな黒人も好きだし、モデル体型の白人も好きだ」っていう証言も「差別しない」って言いたいんだろうけど、ワインスタインの件を考えるとマイナスポイントなのでは?と思っちゃう。
しかも「噂は知ってた」っていうタランティーノの発言は、じゃあなぜその時点でミラマックスと決別しなかったのか?という風にも思っちゃう。
いつ知ったのかは明言されてないけど。
タランティーノと女性出演者やスタッフとの関係をもっと深掘りするべきだったのでは?
編集のサリーのエピソードとかめっちゃ素敵だったのにめっちゃ薄かったし、パルプフィクションでカットされちゃって落ち込んだパムグリアがジャッキーブラウンの主演になった話とかもっとちゃんと知りたかった。
過去作の裏話や、実はタランティーノユニバースがあっていろんな作品が繋がってたとか知れたのは嬉しかったけど、メインテーマが散らかってたような気もする。
この作品にタランティーノ本人が出演してインタビューに答えたりしていなかったのが救いでした。出てたら余計怪しく思えちゃう。
邦題のせいか、公開時期のせいか、シンプルに内容のせいか、私の解釈間違いか、個人的に結構がっかりドキュメンタリーだった。
ぼぞ

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