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クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男のxavierのレビュー・感想・評価

4.0
この男天才か?、それとも狂人か?…
クエンティン・タランティーノのドキュメンタリー作品。
いゃあ、面白かった!
ヒデオショップで働いていた時に、映画を観まくっていた映画オタクだったタランティーノ。まぁ、その事が後に映画監督になった時に活かされてるんだけどね。
色々なウラ話が聞けて面白かったし、感心する事もあった。
一文無しで"死霊のはらわたⅡ"の脚本家のスコット・スビーゲルの所に居候させてもらいながら脚本を書き始めたのが彼の映画人としての始まり。家賃を支払うのにも困るような極貧生活を送っていた彼は、この時多くの脚本を売ったらしい。なんか勿体ないよね。もし彼がお金に困ってなくて脚本が手元に残ってたら名作と言われる作品になったかもしれない脚本もあっただろうしね。

このドキュメンタリー作品は、彼の作品に携わった俳優陣やプロデューサーなどのインタビューから構成されている。
だから結構"そうだったんだ!"って事が出てくる。たとえば"レザボア・ドッグス"の映画の予算が低予算だった為にあの"黒いスーツ"が揃えられず出てる俳優たちに自前で持ってきてもらったって話(中にはスーツじゃなくジーンズだった者も)や"パルプ・フィクション"のサミュエル・L・ジャクソンの役は当て書きだった話にジョン・トラボルタもマイケル・マドセンの代わりにヴィンセント役になった話しが聞けて面白かった。
ユマ・サーマンが"キル・ビル"の時に作品の中で車を運転するシーン(実際にはスタントマンが運転する筈だったらしい)で事故を起こし生涯残る後遺症を首とヒザに負い、その事をタランティーノがずっと悔やんでいるってのも初めて知ったしね…

タランティーノが映画を作る時に一貫しているのは"使いたい俳優を使う"ってこと。
まさに"人に依って役を決めるんじゃなくて、役が人を決める"って事なんだろうね
だからプロデューサーや制作陣が"ヒットが見込めるから、この役者を使いたい!"
って希望をしても役に合ってなかったら使わないだもんね、タランティーノは。
そして指名される役者もビックリする事もあるらしいね。"演ってみたいけど、自分にはオファーが無いだろうな…"って思っているとオファーが有ったりしたらしいからね。

このドキュメンタリーで1番ビックリしたのは映画にかける彼の情熱。
それが顕著だったエピソードが"デス・プルーフ"でのワンシーン。
女性スタントマンであるゾーイを車のボンネットに固定して145キロのスピードで走らせ演技を要求したところ。いくらスタントマンとは言え、そんな危険な事を普通は要求しないんだろうけど、このシーンを撮ることで良い作品になると思っているタランティーノが妥協せず撮りきった所には感動すら覚えたもんな(このスタントを演じたゾーイも凄い!これを2度もやらされたらしいしね)

そういえばタランティーノ、映画監督を務めるのは10本で終わりにするって言ったらしいよね。
今、9本かな?
後、1本しか観られないかもと思うと残念だなぁ…
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