xavier

ぼくとアールと彼女のさよならのxavierのレビュー・感想・評価

4.5
きみと過ごした、忘れられない209日…
男子高校生のグレッグは気心知れたアールと共に名作のパロディ映画を作る冴えない日々を送っていた。そんなある日、同級生の女の子のレイチェルが白血病になりグレッグの母親は彼に話し相手になるように強制する。最初の頃はぎこちなかった2人だったが少しずつ心を通わせていく。しかしレイチェルの病状は次第に悪化しグレッグは彼女を励ますためにアールと映画を作り始めるのだが…
ストーリーはこんな感じ。
この作品の主人公グレッグに言わせると、
"ヘンな2人の少年と彼らと友達になってしまった不運な女の子の物語"らしい。
そうなってしまったのはグレッグの母親のせいなんだよね。
グレッグとレイチェルは同じ幼稚園には通っていたものの、それ以来親交もなく高校生となった現在は口を聞いたことも無い状況に有ったのにレイチェルの母親に"グレッグに話し相手になって欲しい"と頼まれたグレッグの母親はそれを快諾する。そして半ば強制的に"話し相手になれ"と命令される。グレッグが渋々、レイチェルに会いに行くと当然の様に"会いたくない"と言われる。まぁ、当然だよね。友達でも何でもないのに話し相手になってくれって言われても困るもんなレイチェルは。
そこでグレッグの母親も諦めてくれればいいのに何が何でもレイチェルの話し相手になれときかない。結局、グレッグとレイチェルが折れ、グレッグ曰く"絶望的な友情"の日々が始まる。

最初はぎこちなかった2人も周りの友達と比べて普通に接してくれるグレッグに徐々に心を許していく。そしてその2人の関係を深めて行くのがグレッグとアールが作っている映画だった…
まぁ、この映画がしょうもないんだわ。
2人の手で作られた映画はなんと40本以上
それもすべて名作映画をパロってるんだよね。一例を上げると"ブルー・ベルベット"
を"ブリュー・ベルベット"のようにバロったりして作っている。如何にも素人感まる出しのチープな作品なんだけど、何か笑えるんだよね。それが苦しい闘病生活を送るレイチェルに取っては笑えてその瞬間だけは病を忘れられる時間になっていたんだと思う。それにグレッグの思考の可笑しさにも助けられたんじゃないかな。いきなり"後悔中のホッキョクグマの鳴き声"を会話の途中にぶっ込んで来る?って思えるぐらいおかしいんだもんなグレッグは…

と結構、作品としては笑いの要素が多くて笑えるんだけど、作品が進むに連れてその雰囲気は変わっていくんだよね。
あんなに仲の良かった2人が"ある事"で顔も見たくないほどの大ゲンカをするとも思えなかったのにね…
作品の後半、特にラストはねぇ…
ラストの展開が素晴らしい…って思えたんだよね。多くを語るんじゃないんだけど、淡々と流れる、その映像に心が持って行かれるんだよね。そして気が付けば涙が…

この作品は2015年のサンダンス映画祭のグランプリ&観客賞を受賞している。それなのに、日本では劇場では公開されなかったらしい。
何か勿体ないね、いい作品なのに…
xavier

xavier