jasmine

ザ・クリエイター/創造者のjasmineのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.5
シミュラントや兵器、その他機器のプロダクトデザインが秀逸。ターミネーターやI, Robotとはまた違ったアプローチでAIやロボットを描いていて、形状だけでなく人類との関係性がリアル寄りで好き。

人とAIを見境なしに攻撃する西側の残酷さに気分が悪くなったり、そこまでドラマチックな描写はないのにいつの間にかAI側に感情移入をしていたりと、今まで抱いていたものと明らかに違う感覚を与えてくれて面白かった。脚本と演出が良いからか、ノマドをはじめとしたスケールの大きな兵器に普段ならもっとロマンを感じるはずなのに、どちらかというと世界観に圧倒されてワクワクよりも没入感が勝っていたように思う。

グラウンドゼロでの核兵器の爆発の経緯が明らかになったシーンで、そこまではあまり感じなかった西側の悪意がしっかりと伝わってきて本当にしんどかった。人間ってこういうところあるよね、と。軍関係者のムーブや発言もこれを受けてから直視できないものになっていった。でも徹底して西側が悪く見えるよう描かれていたのはちょっと意外というか、新鮮だったな。
対してニューアジア側は色々な言語話者が一緒に暮らしていて、文化も混ざりあってAIを含む様々な人たちが共存していたことが印象的。ほぼリアルタイムの翻訳技術があったり、AI同士は多分異なる言語同士でも普通に会話できるんだろうなと思うとこの辺りの進化も近未来的ですんなりと入ってくる。これこそが本当の意味での平和な世界なのかもしれないなと思うぐらい現代の延長って感じがした。

俳優陣の演技も素晴らしくて、間違いなくこの作品の世界観を形作る完璧な要素の一つだった。アルフィーが機械を操る時に合掌してちょっと離す姿も可愛かったしね(?)
あと、日本語話者としては違和感のない日本語やちょっとした文字や文化等の反映はやっぱり嬉しいね。いや〜。面白かった。


149/2023
jasmine

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