柏エシディシ

ザ・クリエイター/創造者の柏エシディシのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.0
ギャレス・エドワーズ。
既視感のあるビジュアルや設定に予告の時点では不安も大きかったのだが、とにかくこの人の自分の中のビジュアルイメージを具現化する才能はズバ抜けていると率直に思った。すごい。
低予算の秀作SF「モンスターズ」や、作品としては微妙だったゴジラやローグワンもその点は頭抜けていた。
今回も、映像や音響のアイデアやテクニック、その手管はスピルバーグか?キャメロンか?というレベル。
いや、めちゃくちゃ金掛かってるアバターなんかより、ずっと映像的快楽に溢れているのではないか?
Radioheadのあの曲をああいう使い方するセンスには嫉妬する。
間違いなく映画館で観る作品。
IMAXで鑑賞しなかった事を後悔している。
ただ、イデオロギー対立や「電気羊は夢を見るか?」的AI問題、西側諸国と途上国の軋轢は、作品のダシにされているだけで、映画としての議論や考察はおざなりだ。
別に、良いじゃん?と言われれば、それまでだが、「つくられたものに魂は宿るか?」という命題への向き合わなさが、結局、本作のどこか見掛け倒しの物足りなさと無縁では無いと思う。
監督インタビューやパンフレットから、どうやら製作のアプローチ自体が、要約すると、まずは撮りたい絵から逆算して作っていくスタイルの様で、ナルホドと思った。だから、か。

と、クサしながら、それでも、やはり嫌いになれない、というか、むしろもっと夢中にさせてくれ!という不思議な衝動が湧き起こる。
これ、毎度ギャレエド作品を観る時思う事!w
なんだかんだ、また次の作品も観たいと思ったし、結局ファンなのかな?


おまけ。(注:ちょっとネタバレ)
士郎正宗イズム(それも攻殻機動隊より原作アップルシード強め)のビジュアルでとっても楽しんだのだけれど、そこはこうして欲しかった!というオタク的小言。
①アジト襲撃シーン。遠くから音が聞こえてきて、何か来る!のトコ。そこは多脚砲台だろー!!なんかでっかい戦車で拍子抜け
②せっかくアンドロイド役でベロニカ・グゥ様起用してるんだから、そこは草薙素子リアルアクションさせにゃアカンだろー!!勿体なさ過ぎる!撮り直しー!
柏エシディシ

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