オミクロン氏

ザ・クリエイター/創造者のオミクロン氏のレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.9
 SF映画で重要なのは、やはりビジュアルだと思う。フェイクなニュース映像で物語世界を説明する冒頭、『ブレードランナー』と似て非なるオリエンタルな未来の風景、AIの頭の造形など、ビジュアルの数々はとても良かった。

 ストーリーやテーマも、ギャレス・エドワーズ監督の作家性が強く感じられる。前作『ローグ・ワン』と同じく、体制に反乱する者の滅びの美学が、終盤でエモーショナルに描かれる。あまりのエモさに泣いてしまったが、展開はさすがに強引な気もする。

 また、アメリカ軍を体制側の悪役として描くのは良いが、単純化して描かれていて、深みや奥行きを感じられなかった。

 とはいえ、オリジナルのSF映画大作で作家性を貫いたギャレス・エドワーズはアッパレだ。