名波ジャパン10

ザ・クリエイター/創造者の名波ジャパン10のレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.3
AIと人類の戦いはSF映画のテーマとしてすっかり定着し、AIが暴走して人類の滅亡を目論むというストーリーが定型化しつつあります。しかし、本作はその様なステレオタイプの作品とは一線を画し、現代の人類が直面する分断の問題を寓話化して描き、且つ、米国の独善的な大国主義への痛烈な批判となっています。AIの根絶を図る米国とAIとの共生を目指すニューアジアとの戦いは文化・価値観の衝突でもあり、大国vs小国の戦いでもあります。ニューアジアへの米軍の攻撃シーンはベトナム戦争を彷彿とさせ、独善的な米国を暗示する描写となっています。リベラルなハリウッドを象徴する作品でもあります。ギャレス・エドワーズ監督は日本映画ゴジラシリーズの大ファンで自らも米国版「Godzilla」の監督を務めています。本作品には渡辺謙の日本語の台詞の他、各章のタイトルの日本語表記、日本語の看板など彼の日本愛が溢れています。アカデミー賞有力候補作品だと思います。