あべきょ

ザ・クリエイター/創造者のあべきょのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.3
日本オタク?が作った近未来SFって感じであんまり入り込めなかった、、、

AIによる核爆発事件をきっかけに「対AI戦争」に乗り出す西側諸国vs AIとの平和的共存を掲げる"ニューアジア"という構図は、「AI=悪」や「人間vsAI」というありがちな設定ではなく面白いものだったと思うが、そうしたポリティカルな文脈があまり深堀りされず、主人公ジョシュアの個人的動機や物語を中心に、それらが政治的文脈がリンクせず進行していたのが残念。

また、入り込めなかったもう1つの理由として、ニューアジアの世界観に違和感を感じる点が多いこと。
いわゆる「サイバーパンク」の世界観にありがちなビジュアル面での日本語のサンプリングや、東京っぽいサイバー都市空間の描写と東南アジアのロケーションがイマイチ合っていない。せっかくの渡辺謙も基本は英語なのに急にカタコトの日本語で話し始めたり、近未来なのに無駄に武士のような鎧を着ていたり、、、ニューアジアにおける日本の立ち位置もよく分からんし、場所として東南アジアがフィーチャーされている理由も特に説明がなく、かなり入り込みづらかった印象。もちろん、ハリウッド映画でよく出てくる「異国の地」としての日本と日本語表現に違和感があるのはある程度は仕方がないが、今回は冒頭から政治的な文脈を提示されているため、ニューアジアにおける日本の立ち位置についてなんの説明もないのはな、、、という所感。

下手に大枠の政治的文脈など気にしなければ、ニューアジアの世界観も日本×東南アジアのごった煮という意味で面白く、ジョシュアの個人的動機を中心とするストーリーも楽しめたのかもしれない。
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