ヤスマサ

ACIDE/アシッドのヤスマサのレビュー・感想・評価

ACIDE/アシッド(2023年製作の映画)
3.3
強力な酸性雨から逃げる親子を描いたデザスター・ムービー。

異常気象が続きながら、ニュースで伝えられるような海外の酸性雨の甚大な被害がまだ少ないフランスにいるミシャル(ギョーム・カネ)は、気候変動がもたらす問題に無関心だったが、その被害が身近に迫ってきたある日、寄宿舎にいる娘のセルマ(ペイシェンス・ミュンヘンバッハ)を、難を逃れるために迎えに行って欲しいと、離婚した元妻のエリーズ(レティシア・ドッシュ)から頼まれると、既に目の前に迫った強酸の雨に襲われ始める。

死に至らしめる強酸の雨が降る世界に、恐ろしさしか無い。
産業革命以降、人類による化石燃料の多用で地球温暖化が促されていることは世界中の皆が知るところ。
ところが人類のほとんどは、二酸化炭素排出減の必要性を知ってはいるが、生きていくために仕方の無いことと、現状で直接害が無い者に取っては他人事なのだ。
この映画は、そんな人類へ警鐘を鳴らすものであることは明らか。
映画で描かれる人たちは皆、日々の生活で個人的な感情が先に立ち、それが及ぼす結果に意識を向けない、または仕方ないと諦めている、地球の環境の変化に対する人類の姿勢の縮図と言えるのだ。
勿論、惨事の最中に、冷静に先のことを考え、対処するのは難しい。
だからこそ、今、考えなくてはいけないというのだ…、酸性雨に因って救いのない結末を迎える前に。
ただただ、痛々しいばかりだ。
ヤスマサ

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