Monsieurおむすび

違国日記のMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

違国日記(2023年製作の映画)
3.9
#違国日記
物で埋め尽くされた部屋が拓かれ、他者が混ざり合い、新たな部屋になる。
家族とも友人とも、既存のどんな関係性とも違うし、互いを愛せるかどうかもわからない槙生と朝。
ちょうど槙生の部屋の引き戸のように、右へ左へ行ったり来たり、ピッタリの場所へ収まりはしない。
それでも一緒にいることで、凡ゆる違いを尊重し合える時間を積み重ねていく過程が微笑ましい。

だらしのない大人たちが、経験から現在位置と最適解を導くのも、不安定な少女たちが、動き回り、思考より先に言葉を発し、自分や他人が何者かを模索するのも誠実で、心があるのだと唄っているようだ。

四宮秀俊の撮影も永田英則の照明も好きだった。
言わずもがな瀬田なつきが捉える少女の揺らぎと躍動も好き。
突き抜けるものこそなかったが、素朴な言葉で綴られる怪獣たちのバラードに魅せられた。
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