題材、問いかけが監督ご本人の喪失の経験から来ているとのことで、その根っこにあるリアルさは感じました。自分も愛している家族が自分のことを忘れてしまった体験がありますし、同時に自分も忘れたいこと、忘れたくないことを(当たり前ですが)抱えて生きています。
もしも記憶を取捨選択できるとしたら、それは果たして救いになるのだろうか。記憶と思い出というのは同じようでいて実は違うものだろうな。記憶を無くしたとしても、思い出は残る気がするな。自分一人で持っているつもりの記憶も実は誰かと分け合っているんだよな。など、20分強の作品の中でさまざまな考えが浮かんでは沈んでいきました。
ただ、惜しいのはやはり尺の短さ。観客の読解力と没入感に頼らざるを得ない短編ではもっと抽象的にするか、もう少し詳細な答えを入れてもらえるとサイズ感として締まった気がします。60分尺で再構成したVer.も観てみたいと思いました。
