みおこし

ミッドナイトムービーのみおこしのレビュー・感想・評価

ミッドナイトムービー(2005年製作の映画)
3.8
『イレイザーヘッド』や『ロッキー・ホラー・ショー』、『ナイト・オブ・ザ・リヴィングテッド』『エル・トポ』『ハーダー・ゼイ・カム』などいわゆるカルト映画と呼ばれている名作たち。これらの共通点は従来の映画の体制から逸脱した内容と作風があったこと、そしていずれも「深夜枠」として小さな劇場で公開され、口コミで評判を広げていったこと。そんな伝説的な深夜映画の裏側に迫ったドキュメンタリー。

めちゃめちゃ面白かったです!!リンチ、ウォーターズ、ヘンゼル、ロメロ、リチャード・オブライエン、そしてホゾロフスキーというカルト映画界最強の5人のクリエイターたちが作品について余すところなく語ってくれる骨太な作品でした。
どう見ても大衆ウケはしなさそうな作品たちが、どうして40年以上経った今も熱狂的な人気を保ち続けるに至ったのか。そこには私たちの想像を遥かに超える苦労がありました。
史上最低の映画の呼び声も高い『ピンク・フラミンゴ』の監督であるジョン・ウォーターズが「僕の使命は、悪趣味の中に1%の尊厳を与えること」と仰っていて、もうその一言に本作の全てが集約されている気がしました...!(笑)確かに悪趣味な映画かもしれないけれど、その中に最高のユーモアだったりスリルがあるわけで。それを突き詰めて、観客を楽しませるべく映像化した監督たち。従来のハリウッドのやり方に捉われてていたら決して完成しえなかった名作たちの数々の裏側に、こんなにもクリエイターたちの情熱があったのかと思うと胸がいっぱいになります。
そして、暴力的な描写や下品な描写が含まれているリスクを侵して、劇場公開にまで踏み切った当時の小さな映画館の支配人たちの勇気にも感服。
1970年代当時、デヴィッド・リンチはじめ、作品へのこだわりが特に強い監督たちは、自分の持っている世界観を表現するのはとても大変だったかと思います。しかし、この深夜映画の枠を通して少しずつ自分の追い求めるものを具現化していき、巨匠として名を馳せている現在。それを思うと、いかに当時のミッドナイト上映が重要なものだったか痛感...!

個人的に意外だったのが、『ロッキー・ホラー・ショー』の映画版は元々メジャー向けに作った作品であり最初は大コケしたけれど、何年もかけて観客たちの間にその人気が広まり、最終的にカルト映画になったというお話。てっきりコアファンに向けて作っていたと思ったら、そうじゃなかったんですね!最終的にきちんと評価がされてよかった...(笑)。

カルト映画ファンは必見の骨太なドキュメンタリーです!!
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