なお

影島/ヨンドのなおのネタバレレビュー・内容・結末

影島/ヨンド(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

低評価の中、こんなことを書くのはアレなんですが、めちゃくちゃ好きです、コレ💦

確かに恐ろしく暗くて重たくて、どこにも救いがないお話なんだけど、とても良かった。

連続殺人鬼の父親を持つ息子、ヨンド。
父親は既に死刑執行されたにも関わらず、彼は世間から怪物呼ばわりされ、警察にはマークされ、まともな職にもつけないでいる。

驚いたんだけど、悪いのは父親なのに監督不行届き?て事で高校生のヨンドが少年院に入れられてしまう!
そんな理不尽な事ってある?!

ヨンドを演じたのはテ・インホさん。
映画よりもドラマに多く出演されてる俳優さんなのかな?
私は初めまして、でした。
ごくごく普通の顔立ちの俳優さんなんだけど、今作では気迫が凄かった。

借金の取り立て、売春婦の送迎…
そんな仕事を黙々としながら彼は絶望の淵で生きている。
暴力を振るうことで現実から逃げ、悪夢にうなされ飛び起きる日々。

どこに行っても付いて回る父親の影。
ほんの少しの運さえも彼には寄り付かない。

そんな彼の元に幼い子供を連れた見知らぬ女がやって来る。
女は、自分の両親はお前の父親に殺された。
私の夫は心臓が悪い。
罪滅ぼしにお前の心臓をくれ、と言う。

そういえば、加害者家族の事って、あまり考えた事がないかもしれない。
息を潜めてひっそりと暮らしているんだろうか。
時間が経っても世間は気付くんだろうか。
お節介な誰かが周りに言いふらすんだろうか。

家族の罪は家族が償うのだ。
地面を這いつくばり歯を食いしばって生きるヨンドの姿は今にも消えてしまいそうな灯りのよう。

ちなみにタイトルの影島(ヨンド)は韓国釜山の南部に位置する島を含む区域の事らしい。
影島に住むヨンド。
せめて、ここから出る事が出来れば少しは変われそうなものだけど、警察から出国禁止令が出されていて…。

回想と悪夢と現実との境目が分かりにくいのが難だけど、悪夢が現実になるあのラストは恐ろしかった。

とことんまで堕ちていく様を容赦なく描くこの作品、とても気に入りました。
なお

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