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ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワーのListenerのレビュー・感想・評価

3.9
彼女が言っていることの全てが正しいとは思わないけど、作品自体は面白かった。業界全体が男性中心になっているのが問題なのだろう。思い返してみれば、映画館(特に名画座)の高齢客は男性の割合が非常に多い気がする。昔は「男性による男性のための映画」といった感じだったんだろうか。デ・パルマの『キャリー』のシーンを観てそう思った。

一方で、序盤に紹介されていたポールダンスのシーンは「男性のまなざし」であることが文脈的には適切なのではと思う(当該作品は観ていないが)。『パリ、テキサス』もああいう話にするならあの場面の照明はああするのが自然だろう。ちなみにあの後の展開は私も嫌いだ。『レイジング・ブル』のシーンではビッキーの声だけが聞こえない点を以て批判していたが、男性→男性 の客体化であっても成立する手法だから、的を射た批判ではないと思う。

アケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン~』をこれから観ようと思っている人は本作より先に観た方が良いかもしれない。
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