Listenerさんの映画レビュー・感想・評価

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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

3.7

それなりに楽しんだんだけど、本筋ではないところばかりに目がいった。先生が言っていたように、自分にとっては新しい発見でも、それは歴史の何処かで既に発見されていることなんだよなあ。それが古い映画を観る理由>>続きを読む

メイ・ディセンバー ゆれる真実(2023年製作の映画)

3.7

提示されているものは面白かったけど、終盤を迎えるまで映画としてはそれほどノレなかった。頭の中をぐしゃぐしゃにされたような…そうでもないような…。最後のエリザベスもそんな状態かもしれない。あれはもはや喜>>続きを読む

『越後奥三面―山に生かされた日々』デジタルリマスター版(2023年製作の映画)

3.9

丸木舟を造る場面で舟を漕いでしまったが観てよかった。人間は進化しているというよりも変化する環境に順応し続けているだけであり、その過程で失われてゆく知識・技能・文化もあると思い知らされる。トークショーで>>続きを読む

脱獄広島殺人囚(1974年製作の映画)

3.9

初めての中島貞夫。『仁義なき戦い』のようなテイストかと思って身構えていたが、がっつりコメディで面白かった。テーマ曲がイケてる。あっけないエンディングはくだらない感じがして好きだ。「終わるんかい!」とツ>>続きを読む

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

4.0

随分失礼な感想かもしれないが、私がイメージする昭和だった。これまで観た今村監督作品の中では一番コメディ色が強かったように思う。コメディ+シリアスは好きな組み合わせだ。これが重喜劇ってやつか?

倍賞美
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地獄の波止場(1956年製作の映画)

3.8

製鉄所が映る映画はやっぱり好きだ。人生はお金が全てではないけれど、お金がないのは本当に不幸だ。大金が目の前に現れるのってチャンスどころか厄介事かもしれない。

犬の鳴き声が昔うちで飼っていた犬とそっく
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赤い殺意(1964年製作の映画)

3.3

吹雪の中の逃避行の重苦しさがすごく嫌だった(褒め言葉)。今村監督の作品に出てくる女性は逞しく、監督ならではの土着性とは対照的に、そういう点では現代的にすら感じる。

加藤嘉みたいなジジイがいると思った
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エル・スール(1982年製作の映画)

3.5

『ミツバチのささやき』や『瞳をとじて』よりは見やすかった。南に行く前に話が終わるのは監督にとっては不本意だっただろうが、個人的にはこういう終わり方も好き。どんなに身近な人でも知り得ない部分はあるよね。>>続きを読む

にっぽん昆虫記(1963年製作の映画)

3.2

今村昌平の作品を観るたびに「今じゃ作れないだろうなあ」と思っていたが、本作のテーマはむしろ現代的なように思った(演出はともかく)。権力を持つと変わってしまうんだなあ。

豚と軍艦(1961年製作の映画)

4.4

セリフが聞き取りづらくディティールは理解しきれなかったが、これは面白かったなあ。まさかあんなものを見せてくれるとは。エンタメ性と批評性を兼ね備えている作品は好きだな。健気でたくましい春子が愛おしかった>>続きを読む

女であること(1958年製作の映画)

3.8

川島雄三監督作品を観るのは初めて…ではなく、洲崎パラダイス赤信号以来2作目。オープニングの美輪明宏カッコええ…。

来訪者によって家庭の重心が崩れかける話。小津作品のニコニコしている原節子も良いけど、
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人間蒸発(1967年製作の映画)

3.9

好みかどうかはともかく、ヤバいものを見てしまった気分になった。作り手がガンガン介入しているところを敢えて見せているドキュメンタリーって感じか?「蒸発に対する意見がこの映画の究極の目的だから」と一同をな>>続きを読む

カンゾー先生(1998年製作の映画)

3.5

主人公がよくわからないものに執着する様は『うなぎ』のようだった。肝臓炎って何のメタファーなんだろう。大昔というほど前の映画ではないけど、こういう作品は現代の日本ではたぶん作れないと思う。だからそれだけ>>続きを読む

蛇の道(2024年製作の映画)

3.4

哀川翔の得体の知れない感じと香川照之の狂気じみた振る舞いが無い分、オリジナルのような異様さは無く、随分すっきりした作品になっていた。あとコメットさん。話の筋だけでなく細かい演出も結構そのままで、観てる>>続きを読む

グロリア(1980年製作の映画)

3.4

これは娯楽作品なのか…?正直良くわからないところが結構あった。細かい所に目を瞑れば大筋は分かるけど。Wikipediaを見て初めて知った設定もあった。こうやって設定を全部見せないのがカサヴェテスの特徴>>続きを読む

アンタッチャブル(1987年製作の映画)

3.8

はじめてのデ・パルマ。なんといってもオープニングがかっこよすぎる…ここだけ映画館でもう一回体験したい。あの高揚感は『レイジング・ブル』のオープニングに匹敵した。

ストーリや演出はベタな感じだった。乳
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薔薇の葬列(1969年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

あ~だから『アポロンの地獄』なのね。観てないけど。勘の良い人ならポスターが出たあたりで筋が分かりそう。前衛的だけど支離滅裂ではなく、むしろ情報の出し方が上手くコントロールされていると思った。エディの物>>続きを読む

レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

3.6

久しぶりのロメール。ロメールってこんな感じだっけ…?ナヨナヨした男(ときどき女)が出てきたり、ちょっとした勘違いが起こるイメージだった。でも出来事を嫌味なくさらっと描くのは過去に観た作品と似てるかも。>>続きを読む

HOW TO BLOW UP(2022年製作の映画)

3.5

彼女たちの行為の是非や人生そのものよりもミッション遂行にフォーカスされていて、思っていたのとちょっと違った。抗議繋がりで『美と殺戮のすべて』を思い出したが、改めて考えてみるとあちらは随分お行儀が良かっ>>続きを読む

君も出世ができる(1964年製作の映画)

4.8

熱烈なファンが多い作品で拍手が起こることがあるが、この作品が終わった時に起こった拍手は、今この瞬間に初めて魅了された人々によるもののように感じられて、とても幸せな気分になった。こういう経験は初めてだっ>>続きを読む

砂の女(1964年製作の映画)

3.8

何だかサラリーマンの話のように思えた。砂かきは意義を見いだせない仕事、配給はなけなしの給料。組織や同僚は自分を助けてくれるほど親身ではない。システムに順応することばかり考えるようになって、そのうち夢も>>続きを読む

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.2

クレール・ドゥニを観るのは『パリ、18区、夜。』に続いて2作目。『パリ、~』を観た直後はそれほど響かなかったが、あの寂寥感は今でも時々思い出す(35mmだったのも影響しているかも)。本作が公開されると>>続きを読む

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

4.0

テニスはコミュニケーションでありリレーションシップだった!!この映画を見終わったとき、私は最後のタシ・ダンカンと同じ気持ちになって、エンドロール中はしばらくニヤニヤが止まらなかった。そうだよ!そういう>>続きを読む

小原庄助さん(1949年製作の映画)

4.0

小原庄助さんが何なのか知らずに観た。コンディションが良くなかったけど面白かった。やっぱり清水宏の映画は面白い。ある場面から急に活劇になって笑った。あんな勢いで土間に叩きつけられて大丈夫だっかのか…?>>続きを読む

アンダーグラウンド 4K デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

3.1

正直に言えばあまり好きなノリではなかった(特に前半)。完全版は314分もあるそうで、171分の本作はチグハグ感が所々で目に付く。

ファスビンダーの作品によく出てくるハーク・ボームが。やっぱり彼の笑い
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灼熱の魂 デジタル・リマスター版(2010年製作の映画)

4.0

出自をめぐる話で、細い手がかりを辿っていく感じも含めて『砂の器』みたいだと思った。説明しすぎないスタイルで観ていて心地よかった。それと炎上するバスの画の力強さよ。

レバノンね。なぜ現地でもフランス語
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関心領域(2023年製作の映画)

3.3

意義のある映画だと思うけど面白くはなかった。タイトルとキーアートの時点で既に一本取られた感じがあり、それ以上の面白さを感じられるのか懸念していたが…。ウトウトしてしまったのでコンディションが良ければも>>続きを読む

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー(2022年製作の映画)

3.9

彼女が言っていることの全てが正しいとは思わないけど、作品自体は面白かった。業界全体が男性中心になっているのが問題なのだろう。思い返してみれば、映画館(特に名画座)の高齢客は男性の割合が非常に多い気がす>>続きを読む

クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

予告が面白そうだったので観に行ったが、あまりハマらず。はっきりとは表現されないけど何か問題を抱えている人なんだろうな~って伝わってくるところが杉田協士監督の作品みたいだと思った。行きずりの男について行>>続きを読む

セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

3.7

時間が経ってすっかり忘れてしまった。飴を舐めながら館の中を見る様はバラエティ番組みたい。『こちらあみ子』は本作の影響もあるのかな。

メーヌ・オセアン 4Kレストア(1985年製作の映画)

3.8

最後の辺りで急にドキュメンタリーチックになるところとか面白かった。しかしそれ以上に興味深い話だった。相変わらずの無軌道ぶりだが、こういう生き方をしようと心に決めても、彼女たちのように次から次へと思いも>>続きを読む

フィフィ・マルタンガル デジタル・レストア(2001年製作の映画)

3.6

最後の方は面白かった。疲れているとこういう夢を見る時がある。イベントが迫っているのに準備が全然進んでいなくて、当日に出たとこ勝負でなんとか乗り切ろうとするけどめちゃくちゃになる夢。無軌道に生きた結果破>>続きを読む

アデュー・フィリピーヌ 2Kレストア(1962年製作の映画)

3.0

兵役が物語の終点もしくは通過点として見えているから、他の作品のような成り行き感は無かった気がする。

モノクロ作品だとmk2のkもグレーなんだ。2本立てならではの気付き。

トルテュ島の遭難者たち 4Kレストア(1976年製作の映画)

4.1

事前情報を全く入れずに観たわけだが、終わった時に「なんやねんこの話は」と突っ込みたくなった笑。今まで観たことないタイプの作品かも。部分部分はそれほど面白くはないのに俯瞰してみると面白い。なんか笑いがメ>>続きを読む