しんちゃん

卍(まんじ)のしんちゃんのレビュー・感想・評価

卍(まんじ)(2023年製作の映画)
4.5
過去何度も映画化された谷崎潤一郎の小説「卍」。
令和の現代を舞台に再び映画化された本作は、主人公・光子と園子の恋愛関係が決してインモラルなものではなく、あくまでもナチュラルに描かれている印象。
時代と共に価値観も変遷する。
その変遷に寄り添うように、この作品の視点も「インモラルな関係」から「ナチュラルな恋愛」へと転換している。
力点が置かれているのは4人の男女の表の顔と裏の顔を駆使した複雑な絡み合い。
それぞれの感情のベクトルや重さを丁寧に織り合わせて進むストーリーが破局に向かってドライブしていく映画的快感。
アパレルショップのオーナーとして社会的に成功している園子という女性を演じる小原徳子さんが新藤まなみさん演じる奔放な光子に振り回され、ピュアな感情が大きく揺れ動くさまを大胆に丁寧に演じる姿に魅了された。