庵野秀明監督。
90年代の渋谷、急遽“トパーズの指輪”を買うために援助交際に手を出す女子高生を描く。
庵野秀明監督としては『新世紀エヴァンゲリオン』、いわゆる旧劇までのエヴァの次の作品。そして村上龍の原作通りのストーリーになっているのが分かる。
とにかく画面はずっと変。手持ちカメラの撮影は当たり前のように作用して、それに加えて会話の節々でカットを変えるという独特の手法。文字は使いまくりで、時間も刻まれる。ここらへんはエヴァンゲリオンから変わらない部分。
物語も『新世紀エヴァンゲリオン』に酷似している。シンジくんのように自己が欠落している主人公が、自己を補完するまでの物語。欲する為にえぐられていく10代の姿と当時の渋谷の姿の相乗効果は凄まじい。援助交際という問題をテーマにしてるのも加わって。
当時、庵野秀明はとにかくオタクが大っ嫌いだったんだなってのが伝わる映画でもある。あのGEOのシーンは気持ち悪すぎる。さらには、浅野忠信演じるオタクの造詣は監督の投影にも見える。夢の世界に呪われて抜け出せない彼が、裕美に説教をするあの場面は名シーン。
庵野秀明監督と都市の相乗効果、強烈な時代の匂い、少女の心理がどれも作用し合う映画。裕美が自己肯定を達成した後のそれらが詰まったエンディングがなんだかんだ一番良いシーンだった。エヴァの最終回のまんまとも言えそう。
