Gerbera

ファッション・リイマジンのGerberaのレビュー・感想・評価

ファッション・リイマジン(2022年製作の映画)
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ウルグアイの羊毛の産業がとても理想的で美しかった。周りに住んでいる人は皆んな知り合いで、その中で仕事をまわすから酷い労働環境には出来ないという、ある意味今失われている村社会的なものの良い部分が見られた。羊毛を洗ったあとの排水から出るメタンガスで発電しているのすごい。景色も美しい。

だけどウルグアイでは紡糸が出来ない。製織も一軒くらいしかない。だから中国はじめとする外国へ素材を売りに出し、外で加工されたものがまた別の国の織物やニットの工場に…。一つの国で原料、紡糸、製織が出来ればその分の輸送にかかる環境負荷を減らせるのに、今の業界の(あるいは資本主義社会の)システムの中では、大量生産できる大きな工場の安さに、ローカルな産業は負けてしまう。

チリの綿の工場は、オーガニックコットンを使い、染色に使われる水も減らそうととても努力している素晴らしいところだった。しかし、そのためにはサンプルを上げるのに3ヶ月かかるという。早さやデッドライン厳守のファッション業界では中々厳しい時間がかかる。デニムのストーンウォッシュ加工を水を使わずに、レーザーで出来るのが凄い。初めてみた。

原材料から追いかけることの何と難しいことだろう。そしてそうすることによって当然高価な衣服になる。安さを求める消費者にどれだけストーリーを説明しても売るのは難しい。人々の意識を変えるための活動と、本当に環境保護をするためには法による規制が必要だ。(経済活動を第一に考えるとこれを規制するのは現実的とも言えない。)

環境問題も労働の尊厳の侵害も、今の産業システムを変えないと駄目だ。クリエイションももちろん大切に、人々が良く暮らせる様にもっと勉強したい。
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