ぶみ

変な家のぶみのレビュー・感想・評価

変な家(2024年製作の映画)
3.0
あなたには、この間取りの異常さがわかりますか?

雨穴が上梓した同名小説を、石川淳一監督、間宮祥太朗、佐藤二朗主演により映像化したミステリではなくホラー。
引っ越しする予定の家の間取りが変だと相談された主人公が、間取りの謎の真相に迫る姿を描く。
原作は未読。
主人公となるオカルト専門の動画クリエイター・雨宮を間宮、彼と行動をともにするミステリ愛好家の設計士・栗原を佐藤、彼等に近づく謎の女性・柚希を川栄李奈が演じているほか、長田成哉、DJ松永、瀧本美織、根岸季衣、髙嶋政伸、斉藤由貴、石坂浩二等が登場。
物語は、予告編にもあるような、間取りについて相談された雨宮が、栗原とともに謎を解き明かしていく様が中心となるかと思いきや、それが描かれるのは序盤のみ。
変な間取りの家の近くで死体遺棄事件が起こったり、そこからまた新たな間取り図が登場したりと、謎が深まる展開は非常にそそられるものなのだが、中盤以降は、人里離れた村や風習を舞台としたジャパニーズ・ホラーへと一気に舵を切っていくこととなり、原作を読んでいない私には、その再現度は不明ながら、かなり拍子抜けした次第。
ではホラーとしてどうだったかと言うと、時折ドキッとさせられる演出はあるものの、謎の間取りという設定を除けば、既視感満載かつツッコミどころも多々あったことから、全体的には凡庸に感じてしまったのが正直なところ。
また、これは私だけなのだろうが、川栄や瀧本が本人に似ているなと思いながらも、途中まで本人かどうか確信が持てなかったり、はたまた高嶋や石坂に至っては、エンドロールのクレジットを見るまで全く気づかなかったりしたのは、本作品のミステリアス感アップに貢献していたように感じた次第。
クルマ好きの視点からすると、斉藤演じる柚希の母がラストに運転してきたのが、最終モデルだったとしても約二十年前のものとなる4代目のトヨタ・ハイエースと、かなり古めのクルマであったため、何かそのクルマでないといけない意味があるのかと考えたものの、必然性について見出せなかったのは、私の力不足か。
イメージビジュアルには「ゾクッとミステリー」の文字が躍っており、確かに大枠で謎の真相を解き明かすという点ではミステリなのかもしれないが、その実はジャパニーズ・ホラーであることを考えると、予告編詐欺と称されても致し方ない内容であり、前述のように既視感満載でもあるが、振り切れている点もあるため、見どころは決して少なくなく、謎解きのカタルシスはないものの、一定の面白さは確保されているとともに、高嶋と石坂に最後まで気づけなかったのが、私にとって最大のミステリだった一作。

祈ってたまるか。
ぶみ

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