Makiko

エッグヘッド&トゥインキーのMakikoのレビュー・感想・評価

3.7
Rainbow Reel Tokyo 2023にて。時間が経っているので細かいディテール等は忘れてしまった。劇場公開求む!

同日に観た『ヴィーナス・エフェクト』然り、自分と同じ要素を持つ(はずの)人々のコミュニティに馴染めない主人公の描写が良かった。どこへ行っても自分と人との「違い」の部分を意識してしまい、あるいは周りから指摘され、孤独感を拭うことができないまま人と付き合おうとする。ゆえに手を差し伸べてくれる身近な人とは衝突し、遠く憧れるよく知らない人間の背中を追い続けるトゥインキーの不器用なことよ。でもなんだかんだで出てくる人が(一部を除いて)良い人ばかりなので、とても希望のあるラストを迎えることができた。(その点は『ヴィーナス・エフェクト』の方が状況的に八方塞がりで、ある意味のリアリティがあったように感じるが)

クィアコミュニティのイベント、オンラインデート、タピオカと、ああZ世代!なモチーフがたくさん。今を生きる若者のワクワクやモヤモヤが詰まった映画。
同時に、アメリカでアジア系として生きる上での困りごとも随所で表現される(途中、カフェテリアで働く日系の女の子が出てくるのだけど「日本の料理ばっかりじゃ店が繁盛しないから」と、中華料理をはじめアジアっぽいものを色々出すようになった、と語るシーンがあったり……)。
自らの人種的少数性によって、常にアイデンティティクライシスがつきまとう中で、セクシュアリティの上でも少数派のコミュニティに属するとなると、トゥインキーは本当に藁にもすがる思いで家を飛び出したんだな、といたたまれない気持ちになる。親も白人(つまりトゥインキーは養子)だったしね。

話は逸れるが、そういえば、どこかの調査で最近の若者は必要以上に性描写が多い映画に嫌悪感を感じている、という結果が出たらしく、少し前にTwitterでプチ話題になっていた。欧米の青春映画を見ていると、そんないきなり体の関係になる?みたいな描写が多いのでそこから先入っていけない。本作はおそらくアジア系が主人公というのもあって、「いや、そりゃ飛躍しすぎでしょ」というアジア文化圏内での共通認識があるのか、エロが皆無なのがよかった。終始一貫してカラフルポップに、言葉でぶつかり合う姿に青春を感じた。

記憶が曖昧なのでとっ散らかった感想になってしまったけれど、良い映画だったのでしばらくしたらもう一回観たい。
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