Makiko

ミラベルと魔法だらけの家のMakikoのレビュー・感想・評価

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
3.5
ぱっと見『リメンバー・ミー』みたいな家族礼賛系のヒスパニック票集めアニメだと思ってたけど、むしろ血縁関係のもっとドロドロした部分にフォーカスした映画で、ディズニーにしては攻めた印象だった。

これまで幾度となく描かれてきた「みんな〇〇なのに自分だけ××でしんどい」系表象だけど、それで一曲歌えるほどに悩んでいるのは実は主人公だけ、というパターンが多かった一方、この映画では登場人物ほぼ全員が主人公並みに悩んでいる。そこに面白さのあるがゆえに、2時間でまとめ切るのは難しいと思った。テレビシリーズだったらもっと満足感あったかも。

イサベラのアセクシュアリティが常々話題になっていたけど、個人的にはルイーサにスポットが当たっていたことに感動した。イロモノにしないでくれてありがとう。「周囲の期待に応えられない自分に存在価値はない」、地味だけど多分めちゃくちゃ多くの人が持っているであろう悩みがテーマのひとつとして設定されているのには、よくある「自分には自分だけの特別な才能や個性がある」的世界観からこぼれ落ちてしまった(かつての)子どもたちへの愛情を感じた。

ディズニー長編アニメーション第60作目記念らしいクオリティ。某周年作品と違っていざとなったら公開日もいじれるし、じっくりコトコト煮込んだ制作陣の気概が垣間見える。
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