千年女優

プリシラの千年女優のレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.0
1959年。米国空軍の将校を担う継父の転勤に伴って西ドイツのヴィースバーデンに訪れた14歳の少女で、そこで既にスターダムを歩んでいた兵役中のエルヴィス・プレスリーと出逢って互いに惹かれ合うプリシラ・アン・ボーリュー。八年後の1967年に結ばれて一児を設けるも僅か六年で婚姻生活を終える彼女の歩みを描いた伝記恋愛映画です。

巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘で自身も映画監督の道を行くソフィア・コッポラがキング・オブ・ロックンロールの唯一の伴侶を描く作品で、『パシフィック・リム:アップライジング』出演以来着々キャリアを重ねるケイリー・スピーニーが存命の人物を演じる重圧に応えてゴールデングローブ主演女優賞にノミネートされました。

「エルヴィス」はあくまで題材に監督自身もそうだった様に若くして注目される少女の高揚と混乱を描きます。代表作『ロスト・イン・トランスレーション』にも通じるプラトニックな前半はスピーニーの清廉な存在感も相まって資質を発揮する一方で酸いも甘いもの後半は両方を損ねますが、前半のマジックで終幕まで持ちこたえる一作です。
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