ソフィア・コッポラと聞いて期待して観に行ったものの、すごくつまらなかった。ソフィア・コッポラは狭い人間関係の中にも、どこか広い世界を感じさせるような作品が多く、そこに魅力を感じていたが、今回はそのような描かれ方はされていなかったように感じる。伝記的作品であることを考慮しても物語の展開がとても凡庸だし、前半からある種の狂気や自己中心的な（これらが、エルヴィス自身のどこから湧いてくる感情であるかがはっきりと描かれていなかった。スター故の奢った態度なのか、エルヴィスが元々持っている人格なのか→そこが描かれないとつまらない）描き方をされていたエルヴィスがまったく生かされていなかったように思う。その上、登場人物が全く魅力的じゃない。かろうじて出産後のプリシラがとても良い表情になった（別人かと思った）のが印象的だったが、全体の構成を考えるとソフィアコッポラがそこの変化に重きを置いていたとは到底思えない。衣装やセット単体で見ればよかったものの、カメラワークがイマイチで（エルヴィスのが机で電話してるシーンはよかった）それほどまでに魅力を感じなかった。
題材はよかったものの、ソフィアコッポラらしさのようなものは感じられなかった。
