長風呂おいだき

月の長風呂おいだきのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.5
社会と障害者を描いた作品。

障害者を社会の闇として描き、社会に評価されることが生きる意味なんだという主張が繰り返し作中に出てきた印象。

その対比として初回作が大ヒットした主人公が出てくるが、実際には主人公自身も闇を抱えている。
描きたかったリアルな闇の部分は社会によって描くことを阻止され、自分自身も障害者を産み3歳まで育て死別している。

主人公には自分を理解し支えるパートナーがいて、この人の存在が本当に大きかった。師匠と呼びあなたが好きです、の締めくくり。もしかして夫婦ではなかったのではないか。というくらいの距離感。

社会に役立つことを生きる意味とした場合、障害者はここでいう生きる意味がないのかもしれない。実際そうか?そんなはずはない。この世に生を受けた限りは生きる権利がある。ただそんな綺麗事を言えるのは、一歩外から見ている人間だからだろう。

世の中には目を背けたくなる現実がたくさんある。自分の身に起こってしまったら向き合い続けるしかないのだろう。

生きるってしんどい。でも作中で表現されていたように、生きててよかったと思える瞬間がきっとあるから人生は尊いんだろう。