ウルフガー

密輸 1970のウルフガーのレビュー・感想・評価

密輸 1970(2023年製作の映画)
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劇場にて鑑賞。なんちゅうもんを見せてくれるんや……。面白すぎるでしょこれ。まさかそんな面白さまであるとは、というてんこ盛りの映画でそれでいて詰め込みすぎになっておらず全ての展開に必然性がある恐るべき完成度。ありがとう、本当にありがとう。

まず言いたいのは皆さんが言っている通り70年代ファッションや音楽や、あの当時にありそうな泥臭いドラマを再現している面白さがまずあって、でもそれだけだったら自分はあまりハマらなかったと思うんですが、それらを決して趣味性の高い映画でなく娯楽活劇に仕上げた点に感心した。

一番顕著なのはアクションシーンで、あれも70年代風のアクションにするという手もあったかと思うけど、バリバリ最新鋭のアクション描写で、今観る観客の満足できるものにするということでマニアックな作品でなく、まずエンタメなんだという信念が伺えた。

考えれば考えるほどよく出来ている映画で、例えば海女さんが何人か出ているけどこの一人一人をまず紹介して……なんてやらず物語の進行とともに各人が認識できるようになっていて、これ実はやる方としては怖いのですが見事に情報を整理して分かるようになっている。無駄に長くならない。

それでいて「上手さ」だけが前に出ている映画ではなく、海女さんが最後まで搾取され、虐げられる展開の中で最後に「海の中では海女の方が強い」とばかりにスカッとするシーンがあり、単純にあー面白かったと言える終わり方になっていて、これが映画だよと思ってしまいました。
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