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密輸 1970のプライのレビュー・感想・評価

密輸 1970(2023年製作の映画)
4.6
海に沈む密輸品を引き上げる仕事を請け負った海女たちが、複数の組織の陰謀に巻き込まれるクライム・エンタメ。

ジャンルを横断していく楽しい映画。昭和時代の旧作映画を彷彿させる劇伴と挿入歌が流れるポップな空間の下、和気藹々な登場人物たちのコミカルな掛け合いだけでは本作のジャンルが見えず、「どう転がるの?」と思っていると「そう転がるのかっ!」と膝を叩く。敵味方が入り乱れる騙し合いはクライム・コメディとして成立し、物語の興味を誘って作品全体を牽引している。敵との肉体的なぶつかり合いはアクションとして成立し、純粋なアクション映画と並べても見劣りしない。さらには、海洋生物が生息する沖を舞台にするだけあって、サメ映画の要素も加わる。

何より本作が凄いのは、どのジャンルへ切り替わっても全ての演出および編集が一級品であること。見せ方を工夫してバシッと決めるため、楽しくジャンルを横断することが出来る。また、本作はジャンルを横断しても、海女たちによるシスターフッドが通底にある。欲望に駆られた男たちに対し、海女たちが「やったるぜ!」と強い姿勢で挑む姿は痛快。逆に、シスターフッドとしての痛快さを終始に渡って初志貫徹するからこそ、どのジャンルに渡っても楽しさが持続している。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計18個
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