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ザ・マーダラー 〜殺人犯は誰だ!?〜のIKUZAGIEのレビュー・感想・評価

3.2
なかなか面白かった!Netflixのタイ映画。クライム・スリラー・コメディで、コメディ要素が強い。舞台はタイの田舎。ある一家で大量殺人事件が発生。第一容疑者と疑われるのが、妹夫婦の外国人夫でいわゆる白人。さて事件の真相はいかに、という内容。
人によって意見や証言が変わる「羅生門スタイル」のコメディ映画かと思ったらしっかり伏線回収し、最後はそこそこ納得できる結末を迎えるので割とスッキリできると思う。もちろん「それは無理あるやろ」と思うところはありますが、コメディ映画ですから。笑った者勝ち。
面白かった点、容疑者が外国人で白人男性というのがひとつのポイントになってました。世代によって違いはあると思いますが、日本を含め東アジアや東南アジアではいわゆる白人に対して劣位を感じる部分があるように思う。特に東南アジアでは、映画の端々でも出てくる「白人=金持ち」のような価値観は、ひと昔前なら割とリアルな感じだったのかもしれません。ですが、そういう会話がもはや笑えるネタというか冗談になってるあたり、近年発展目覚ましいタイにおいても少々昔の価値観になりつつあるのかなあと思ったりしました。実際はどうなんでしょう。ちなみに人間は人種より思想・哲学の方が重要ですが、人種や思想に関係なく、恋愛においては金持ちの優位性(モテる)が存在する。「悲しいけどこれ現実なのよね」ってスレッガー中尉が言ってた。(言ってません)
彩度が強くちょっとカラフルな画も、コメディ映画っぽくてなかなか良かったです。鮮やかな緑の家に赤い曇り空や、タイの田舎の風景に爽やかな青の車というのも印象的でした。あと、主任捜査官の回想と一緒に顔が自然に若返っていくシーンでは「最近のVFX技術ってすごいなあ」と思ったり。また、女優さんが随分可愛いなと思ったら『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で目のクリッとした高校生グレース役を演じたイッサヤー・ホースワンでした。うーん、もっと出番欲しかった。
好き嫌いはあるかもしれないが、傑作ホラーコメディ映画『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』が好きな人はかなり楽しめると思う。
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