うなぎ

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!のうなぎのレビュー・感想・評価

3.5
ようやく見れた新劇場版。

過去作のオマージュというか良かった部分をごった煮させたような一作。
コロナ禍に喘いでいたのは工藤らも同じで、あの頃の閉塞感を反映したように密室でのタイムループが繰り返される。
3人の若者は(表向き)バズ目的で廃墟に訪れているので、下克上バズ映画でありPOVが組み込まれている『カメ止め』とロケ地が同じなのは狙っているはず。

工藤たちも同じ時を生きていることが感じられるストーリーはとても嬉しい。
反面、過去作の焼き直しというか個々で尖っていた要素を一作にまとめたせいで一つ一つの味は薄れている印象で、コワすぎ特有の趣深さが減退している感じ。
ホラー、B級感、なんでもありのブッ飛び活劇。このトンマナがコワすぎの奇跡だと思っていて、今作はゾッとする瞬間もなければ工藤が抱える業との向き合い方・表象もどっちつかずかなぁと…
あと、登場人物の心の傷を表現するために執拗なまでに女性を道具化してしまう設定はちょっと気になる。

ただ今作の表現はコワすぎに大きく影響されたであろうチェンソーマンとか呪術廻戦が近年めちゃくちゃオマージュしてきたもののそれで、自分の中で若干食傷気味になっているのもよくないかも。
加えて「コワすぎといえば!」な特級呪具の数々、工藤のデビルブリンガーが登場しないのも物足りなさの要因かもしれない。

今の白石監督がコワすぎを作り続けるのは難しいのかもしれないけど、ぜひ続けてほしい…!
うなぎ

うなぎ