よどるふ

映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)のよどるふのレビュー・感想・評価

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『ドラえもん』らしからぬ……というか、『ドラえもん』をまったく感じさせないアバンタイトルとオープニング。OPは今作フィーチャーされる“音楽”の歴史を感じさせるものなのだが、最後にタイトルが出るまでレギュラーキャラクターは一切登場しないという異色さ。かつては映画『ドラえもん』のお決まりだった、のび太の情けない「ドラえも〜ん!」の声からOPへ入るくだりも遠くなりにけり。そこから始まる本編は、「今回はこういう話です」、「こういうことをやっていきます」が立ち上がるまでにやや時間を要していた印象。

本作の肝である「音楽って楽しい!」の喜びを支える背景に「上手く音楽を奏られることこそが楽しい」という思想が最初は感じられ、ドラえもんのひみつ道具によりシステマティックにのび太たちの楽器の演奏が上達していくプロセスを見守ることになる。とはいえ、最後はその辺りも上手くカバーされていた。やりたいことをやりたいままやり遂げたクライマックスは良かったが、全体を見ると“映画”というには話のスケール感がやや乏しい印象は否めない。これは、どこでもドアによる往復がわりと頻繁なせいもあるかも。ただ、その不満点を狂わせる仕掛けを最後に用意してあったのは上手いと思った。

前作の『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』と併せて見ると、のび太の扱い方に共通したテーマ性は見出せるが、あまりにも共通しすぎているきらいもある。ただ『ドラえもん』のメインターゲット層である子供に向けたものと考えると、観ている人が大きく変わっているから問題はないのかもしれない。
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